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湘南彫金工房
コラム

更新日:2025年6月22日

シルバー製品のメンテナンスについて

手作りペアリングとして当店でも使用されているシルバー950やシルバー925

実は定期的なお手入れが必要なアイテムになっています。

お手入れの頻度には個人差があり、使用頻度によっても違いがありますので

お手入れが必要な場合やシルバー製品における注意点についてまとめてみました!

初めて知る方も知らない方も豆知識として知っておくとプレゼントする際などにも役立つと思いますよ!

 

シルバーならではの味になる!硫化とは?

 

シルバーリングが「黒ずむ」「変色する」といった現象です。主に銀が硫黄と反応して硫化銀(Ag₂S)を生成することによって起こり、これを「硫化(りゅうか)」と呼びます。

銀そのものは非常に安定した金属ですが**硫黄化合物(特に硫化水素 H₂S)には注意が必要で、これが空気中などの環境の違いで反応することで表面に黒い皮膜を作ります。これは化学反応によって生じる現象となっています。

 

硫化の原因

 

硫化を引き起こす主な原因は以下の通りです

空気中の硫化水素
都市部や工業地帯では、空気中に微量の硫化水素ガスが存在します。これが銀と反応して硫化銀を形成します。都市部など、最近では大気汚染の話は聞かなくなりましたが、シルバー製品を身につけるのであれば、若干の注意が必要です。

 

温泉地

硫黄成分が豊富な温泉地では、硫化の進行が非常に早く、1日で黒く変色することもあります。

有名な温泉地である箱根の特に大涌谷などでは少し注意が必要です。湘南彫金工房にご来店されるお客様で、「この後は箱根に行きます」とおっしゃる方が多いので、よく注意喚起をしています。

 

化粧品やヘアスプレー

含有成分に硫黄や化学物質が含まれていると、それが銀に付着して硫化を促進することがあります。

 

食品(卵、玉ねぎなど)

硫黄成分を多く含む食品に触れることでも硫化は起こり得ます。調理中の着用にも注意が必要です。

 

皮脂や汗

人間の汗にも微量の硫黄化合物や塩分が含まれており、これが銀と反応して硫化を促します。

これもかなり個人差があり、すぐに硫化してしまう方も稀にいらっしゃいますので、この後にお伝えするシルバークロスを使用したメンテナンス方法をご覧になってみてくださいね。

 

硫化と酸化の違い

 

よくシルバーが酸化して黒ずんでしまった、黄色っぽくなってしまったと思われがちですが、実際には酸化ではなく硫化です。銀は酸素とはあまり反応せず、むしろ硫黄との反応の方が優先的に進みます。酸化とは異なり、硫化は黒や暗褐色、場合によっては虹色のように見えることもあります。

 

硫化の防止策

 

シルバーリングの硫化を防ぐためには、以下のような対策が有効です

使用後は柔らかい布で拭く。ざらざらした紙で拭いてしまうと傷になる場合がございます。
また、汗や皮脂を取り除くことで、硫化の進行を抑えることができます。使用後に水洗いをするだけでも抑えることができます。

 

密閉して保管する

空気中の硫黄成分との接触を減らすために、ジッパー付きのビニール袋や専用ケースに入れて保管するのが効果的です。しかし、そのまま全く使わずにいると、ビニールの中に含まれた空気の硫黄成分によって黒ずんできますので、程よく使ってくださいね!

 

シリカゲルや硫化防止紙と一緒に保管

湿気や硫黄成分を吸着する素材を使うことで、硫化をより強力に防ぐことができます。

 

硫化してしまったらどうする?

 

すでに硫化して黒ずんでしまった銀は、以下の方法で元の輝きを取り戻せます:

 

シルバークロス(研磨布)で磨く

市販の専用クロスで軽くこすることで、表面の硫化銀を取り除けます。

当店にも販売していますので、気になってしまうお客様はぜひスタッフにお声掛けください。

 

重曹+アルミホイルでの還元反応

アルミホイルを敷いた容器に銀製品を置き、重曹と熱湯を注ぐと、硫化銀が銀に還元され、黒ずみが取れます。

 

専用クリーナーを使用

液体タイプやペーストタイプのシルバークリーナーを使用すると、手軽に綺麗にできます。

ただし、いぶし銀仕上げなど、あえて硫化による風合いを活かしているデザインの場合は、磨くと元の味わいが失われてしまうことがありますので注意が必要です。

当店お勧めのメンテナンス方法はこちらに詳しく記述されていますのでよろしければご覧になってみたくださいね

 

硫化はシルバーリングならではの経年変化

 

ここまで硫化に関してのマイナスなことばかり記述してきましたが、シルバーリングを使い込んだこそ、ついてしまった傷の部分が硫化して、少し黒っぽさや黄色みが出てきたりしますが、それが味となり、アンティーク感のあるシルバーリングになってきます。

綺麗なまま使っていくのも良いですが、硫化を楽しむのも一つの楽しみ方ですよ

硫化を応用したシルバーアクセサリーもあります。

「燻し」という技術で古くからある加工方法です。燻しはよくファッションリングにも使用され、黒い模様が浮き出たデザインはアンティークな雰囲気を強く出してくれます。

 

シルバーリングの硫化は、銀の性質と環境要因によって自然に起こる化学反応です。正しい知識とケアを行えば、美しい輝きを長く保つことができます。黒ずんだ場合でも、適切な方法で簡単に元に戻すことができるため、過度に心配する必要はありません。

 

歪み

 

湘南彫金工房andfuseのシルバーペアリング手作りコースで使用している銀はsilver950という柔らかい銀を使用しています。この銀は加工がとてもしやすく、silver925よりも硫化しづらい特徴を持っているため、手作り体験に非常に向いている素材となっているからです。しかし柔らかいという特徴は逆にいうと、シルバーリングに対して強い力が加わった際に綺麗な円形が楕円に歪んでしまうことがあります。

歪んでしまった場合は修理が必要になるケースがほとんどですので、注意して使用していただきたいと思っています。

 

歪みについてお客様に気をつけるようにお伝えしていること。

シルバーリングの一箇所に強い力を加えない

一箇所に強い力が加わるとその部分が撓んでしまいます。

力作業の際に着用しない

何か重い荷物を持つときなどに指輪の内側からの圧力で歪んでしまうことがあります。

落とさない

落としただけでは歪みは起きにくいですが、落とした後に踏んでしまったりすることで歪んでしまうことがあります。

 

破損

 

手作りのシルバーペアリングは先述したsilver950を使用しています。この素材はリングを作る際に鍛造という製法を使用していますので、リングの一箇所にロウ目(シルバーの棒を丸めて繋ぎ合わせている部分)という箇所が存在します。このロウ目が離れて、シルバーリングが割れてしまうことが稀にございます。

稀にあることなので、仕方のないことでもありますが、やはり割れてしまうとショックですよね、せっかくの手作りシルバーペアリングを破らないための注意点は、力作業の際に着用しないことです。歪みの注意点と一緒ですね。

何か重い荷物を持つときなどに指輪の内側からの圧力で歪んでしまうことがあります。

また、筋トレが趣味の方などはトレーニング中だけはペアリングを外していただくようにお願いいたします。

 

保証があります

 

 

ここまでシルバーリングの硫化、歪み、破損についてお話ししていきましたが、いずれの場合も当店では3ヶ月以内は無料でお直しをさせていただいています。

4ヶ月以降は1,650円〜修理を承っておりますので、歪みが気になったり、作りたてのツヤツヤ感が失われてきたなぁと思った際にはぜひご連絡いただければと思います。

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