普段は脚光を浴びずにただただ使われることが多いジュエリーやアクセサリーを作るための専用の彫金工具たちは何を作るかによって使用する道具が変わってきます。
大まかな作業をする時に必要なものや細かい作業で必要なものなどあげ始めるとキリがありません。
今回は湘南彫金工房andfuseのシルバーペアリング手作りコースで使用する主な彫金の道具についてご紹介いたします。
ペアリングを磨く道具
アブラメ
「アブラメ」は金属加工用の**ヤスリ(鑢)**です。
当工房の彫金工具の中では目が荒く大まかに形を整えたり、平面を磨く際に使われます。
名前の由来は、表面の目(溝)が滑らかで、まるで油を塗ったようにスムーズに削れることからきています(諸説あり)。
ジュエリー制作の現場では、金や銀などの柔らかい貴金属に対して非常に繊細な作業が求められるため、シルバーペアリング手作りコースでは一つの幅のアブラメしか使用しませんが、職人は何種類ものアブラメを使い分けしています。
リューター
ペアリングの手作りにおいて、細やかな作業を支えてくれる頼もしい道具、それが「リューター」です。
小さなモーターで先端工具を高速回転させ、削る・磨く・彫るなど、さまざまな加工が可能になります。ペアリング手作りコースやシルバーバングル手作りコースでは、先端に紙やすり、セラミックポイント、豆バフをつけて使用します。また、リューターの他の用途にはワックス原型の成形、金属のバリ取りなどあらゆる工程で大活躍します。先端を付け替えることで用途に応じた繊細な加工ができるため、職人にも初心者にも扱いやすい工具となっています。
手作りならではの温もりを大切にしながらも、精度の高い仕上がりを目指すなら、リューターはまさに必須アイテム。クオリティの高い磨きの仕上げには間違いなくこちらが必要になります。
紙ヤスリ
湘南彫金工房andfuseではリューターに600番の紙ヤスリと1,000番のヤスリをセットして使用します。
番手により粗さや細かさが変わるので様々な番手を使い分けて使用して行きます。
ヤスリは消耗品なので、削れなくなってきたら紙を剥いて、また新しいヤスリに変えるのですが、そこがリューターの紙ヤスリの特徴になっています。
ヘアライン仕上げという仕上げでは、ヘアラインを作るために表面に対して紙ヤスリで240番という粗いヤスリを使って模様を作っていきます。
綺麗に磨き切るのではなく、粗く削って模様を出していく作りで綺麗なラインができてとても煌びやかで大人な印象になりますよ。
セラミックポイント
リューターにセットして使う「セラミックポイント」は、シルバーや金、ワックスの表面仕上げにぴったりのアイテムです。硬すぎず柔らかすぎない絶妙な素材感で、細かいキズを消したり、滑らかな質感を出すのに重宝します。シルバーペアリング手作りコースでは1,000番のヤスリがけをした後に使用していきます。
一般的なジュエリー制作にも使用しますが特にペアリングや結婚指輪、婚約指輪などの指輪作りでは、地金を削った後の整え作業や、磨き前の最終仕上げに大活躍します。熱を持ちにくく、素材にやさしくアプローチできるので、繊細なディテールを壊す心配も少なく安心です。
形状や硬さのバリエーションも豊富で、目的に応じて使い分けることで、より美しい仕上がりが実現します。
「仕上げのクオリティをワンランク上げたい」そんな時にこそ、セラミックポイントの出番です。
豆バフ
リューターに装着して使う「豆バフ」は、手作りペアリングの仕上げ工程で大活躍するアイテム。
直径1~2cmほどの小さなバフ(研磨布)で、そのコンパクトさから「豆バフ」と呼ばれています。
主に当工房ではシルバーや10金のペアリング、ゴールド、プラチナの結婚指輪や婚約指輪の表面のツヤ出しや最終仕上げに使用され、細かい部分や曲線など、通常のバフでは届きにくい場所にもピンポイントでアプローチできるのが魅力です。研磨剤をつけて使うことで、鏡面仕上げのような美しい光沢を引き出せます。
お客様にも手作りペアリングの仕上げの作業で使っていただきます。ペアリングがとても綺麗になるので楽しいのですが、研磨剤の黒い汚れには気をつけてください!研磨剤が目に入ってしまう方もいらっしゃるため、近づきすぎないように少し目を離して使ってみてくださいね。
豆バフは豆という名前がついているようにコンパクトなので、ペアリングの内側など、繊細な部分もやさしく磨けます。手作りペアリングの完成度をぐっと引き上げてくれる存在。丁寧に仕上げることで、手作りならではの美しさがより引き立ちます。
指輪を広げる道具
芯金
芯金は、断面が円形の円錐状の金属棒で、先端が細く、根本にかけて徐々に太くなっています。指輪のサイズ(号数)に対応するよう目盛りが付いているものもあり、リングをはめ込むことでサイズの確認・調整・整形が可能です。当工房の作業では鉄製芯がねを指輪のサイズ調節を行う際の道具として使用しています。ペアリングを芯金に通し、そこからペアリングを木槌で叩いてサイズの調節をしていきます。
芯がねには種類があり、材質などによっても用途が変わってきます。
・鉄製芯がね:重くて安定性があり、叩き作業に向いています(特にサイズ拡張や歪み直しに)。
当工房ではこちらを使用しています。
・ステンレス製芯がね:サビに強く、メンテナンスが楽。ジュエリー教室などでもよく使われます。
・木製や樹脂製の芯がね:軽くて持ち運びしやすいですが、叩くには不向きです。
木槌
木製のハンマーです。ペアリングを芯がねに通した状態で、やさしく叩いてサイズを広げたり、歪みを整えたりするために使います。
木槌を使う理由は
・金属のハンマーだと、ペアリングの表面に傷がついたり凹んだりする。
・木槌ならシルバー素材を傷つけず、力をうまく分散できる。
・特に鏡面仕上げや繊細な模様があるペアリングにはデコボコさせたくないので必須です。
金槌
当店では鉄製のハンマーになります。
ペアリングに模様をつけたい時に使用する道具となっています。(みなも仕上げ、槌目仕上げ)
木槌と違い、硬く思いハンマーなので、ペアリングを叩くとそこに凹みができます。その凹みが光の屈折によって輝き、美しい模様になっていきます。
叩く人によって模様が変わりますので、その人ならではの手作りのペアリングを作れるのが楽しいですよ
サンドブラスター
サンドブラスターはお客様ではなくスタッフが使用する機械になります。
つや消し仕上げという仕上げで使用する機械で、微細なダイヤモンドの粒子を手作りしていただいたペアリングに打ち当ててつや消しのマットなデザインにペアリングの表面を仕上げます。
手動彫刻機
手作りしていただいたペアリングに刻印を入れる道具です。
こちらの機械はペアリングの内側の刻印をお客様に入れていただく手動の彫刻機です。
彫刻機の上部にはペアリングをセットする部分と、文字をシルバーのペアリングに彫るための非常に硬い合金製の針があります。
下部には文字が書いてある円盤とお客様に操作していただくレバーがございます。
円盤とレバーを用いて、文字を彫っていただきます。ミスをしてしまうこともありますが、お二人で楽しんで文字を彫ることができます。
グラボグラフ
手動の彫刻機と同じく、ペアリングに文字を入れることができる機械ですが、お客様には手作りしたペアリングに入れて欲しい文字を考えていただき、スタッフが文字を彫刻します。
PCと接続している精密なマシンなので、手動の彫刻機では出来ない英字の小文字や筆記体、平仮名やカタカナ、スマイルマークなどの絵文字も彫刻することが可能です。お客様からも人気の彫刻方法となっております。
道具も写真映えすること間違いなし
湘南彫金工房andfuseではできるだけお客様が職人と同じ道具で、ワンランク上の高品質の手作りペアリングや手作りのアクセサリー、手作り結婚指輪、手作り婚約指輪が作れるように道具にもこだわっています。
ペアリングを手作りにご来店いただいているので、手作りしたペアリングの写真を撮る方が非常に多いですが、普段の日常生活では使わない彫金専用の道具たちもぜひ写真に撮ってみてくださいね。
また、シルバーペアリング手作りコースでは使わない道具も他のコースで使用することもあります。特に鋳造製法で作成する結婚指輪や婚約指輪の手作りコースでは全く違う道具を使ったりします。
ワンランク上のクオリティでシルバーペアリングを手作りしたいなら、普段味わえない空間、手作りの体験をぜひ湘南彫金工房andfuseにお越しくださいませ。コースの詳細はこちらからどうぞ。